azao_olc’s blog

あざおOLCクラブは、ワールドワイドに活動する匿名のオリエンテーリング集団です。

旅情2

12月の初頭にベルリンに行きました。ここバンクーバーからは直行便がなくフランクフルトを経由する必要があったのですが、フランクフルトはハブ空港になっているようで飛行機は遅れまくるわ周りの人はみんなイラついてるわで疲れました。前日に雪が降ってドイツの他のエリアでは飛行機が欠航になったりしてたのも影響していたみたいです。

行きの飛行機では宇宙船で冬眠カプセルに入って100年旅をする予定が機械の不具合で冬眠が解除されちゃってどうなっちゃうのみたいな映画を見ました(つまんなかったのでタイトル調べる気もしない)。フライトの暇つぶしとしては別に文句ないですが特に感想はありません。

フランクフルトでのてんやわんやがあって初めて空港でガチダッシュしたりしたのですが無事ベルリンに到着、空港は木材を多く使った建築で温かみを感じました。一方外に出てみるとこんな感じで

しばらくバンクーバーに住んで曇りがちな空に慣れてしまったのか、自分には灰色の荒涼とした風景が結構馴染むようです。この風景に柱とカクカクしたモダンな建築との相性もいい気がします。

空港からベルリン市街中心部、宿までは全て電車ですんなりいけました。ベルリンは電車が発達していて移動が楽なのが北米と違っていいですね。到着後最初の食事はもちろん

は?

ショッピングモールのカレーでした。「俺の今のバイブスに最高にマッチする運命のローカル店があると信じ歩き回った結果疲れ切って駅前のやよい軒に戻ってくる」のベルリン版を到着早々やってしまいました。東京でもよく失敗するのに初めての街でも常に高みを目指すおれ、流石すぎます。ちなみにカレーはかなり本格的なインドカレーで美味しかったです。

そういえば先日「たべっ子どうぶつの次に来る激アツトレンドは何か」という話題で盛り上がってチョコボールを提案したのですが(今日本ではたべっ子どうぶつのキャラが流行っているそうで、筆者があの「一周回ってる感」に随分と前から目をつけていたことでこの話題が出ました)、実際のところ複合型ショッピングモールや郊外の国道沿いの「あの感じ」はそろそろ来てもおかしくないんじゃなかと思っています。計画開発による景色の画一化、没個性化という問題は無論その通りですが、結局人はノスタルジアに支配される生き物なので多感な時期に過ごした風景というのは多くの人の脳に刷り込まれているはずです。そしてこれはインターネットの感性が鋭い人たちによってすでに使われている風景で、あと数年したらビームス洋服の青山の看板や国道1号線のガストと駐車場が馬鹿でかいすき家の写真がプリントされたスウェットを売り始めるかもしれません。そしたら終わりです。

話を戻します。最初の数日間泊まった宿は朝食が出たのですが、冬のドイツなのに超トロピカルなフルーツが出てきて面白かったです。

飯うまかった

思わずトロピカル軍団を取ってしまったのですが、ご存知の通り私もトロピカルな男ではないのでそもそも何を食べてるのかわからず「今食べちゃいけないとこ食べた気がする」「ほとんど種じゃないですか」「皮!?!?」とか心の中でツッコミながら知った風で食べました。一番良かったのは全自動オレンジ生搾りマシーン

エヴァの射出シーンくらいメカメカしい

ジュースのリザーバーが空になると機械の上に積まれているオレンジが二個機械に落ち、自動で皮剥き、絞り、絞りガラを捨てるところまで並列で行われるハイテクマシーンで、「技術力の無駄遣い」以外の感想が湧きませんでした。回転寿司を初めて見た人もこういう感想を抱くのだと思います。

ベルリンの街中はいわゆるヨーロッパ風の建築とモダン建築、共産主義建築がエリアごとに固まっていて歩いていて面白かったです。

歩いているだけで楽しい

散歩がメインの日はふらふら歩きながら古着屋やレコード屋を覗いたりしました。街ゆく人が皆オシャレでした。

ベルリン三部作

ベルリンはトルコ系移民が多いらしく、トルコケバブが確かに美味しかったです。あと定番のカリーヴルストも食べました。うまかったので帰ってからケチャップとカレー粉ととんかつソース混ぜてみたらそれっぽい味になりました。まあでもこれは屋台で食べるからさらに美味いんでしょうね。

ベルリンに数年住んでいた建築家の知り合いに事前に色々教えてもらったのですが、ベルリンは冷戦期に西側のショーケースとしてたくさんのお金が入ってきたため、西側エリアではレベルの高いモダン建築が見れるそうです。確かに政府庁舎のあるエリアでは

散歩したら気持ちよさそう

なんの建物なのかは知らない

エヴァに出てた使徒の方ですよね?

近代的なデザインの建物が乱立していて、歴史的な背景を絡めると面白かったです。東側の代表的なエリアにも行きました。ちゃんと建築デザインの歴史を勉強できていないので正確にどれがどのスタイルに属するのかわかっていませんが、確かに全く違う雰囲気の荒涼とした建物が並んでいて威圧感を感じました。

スターリン様式の建物を改修して作ったアートギャラリーと奥のテレビ塔の対比がしたくて撮った一枚

この旅行で一番気に入った写真はこれでした。

東ベルリンという文脈を踏まえた上で、掲げられたウクライナの国旗、それが色褪せていること、なんとなく疲れているように見える女性など、直接的、間接的に世界で起きている色々なことを考えました。

ベルリンはアートの街ということで美術館も行ける範囲で行きました。多すぎて全部は到底回れなかったので、またチャレンジします。一番良かったのはHamburger Bahnhof

初号機?今回の旅の裏テーマはエヴァンゲリオンだったのかもしれない

記憶が正しければ古い駅舎を改築して作った美術館とのことで、駅っぽいホールに巨大なインスタレーションがありました。

ちょっと震えたり音が鳴ったりしててキモかった

生物と非生物の中間を探るコンセプトらしく、生物を生物たらしめるものとは?ということを考えました。動くこと?生殖?流線型?色?他のエリアではLee Ufanの回顧展をやっていたのが良くて、あと常設展ではリヒターが好きでした。

見たら忘れない感じする

他の美術館で大規模なリヒターの回顧展もやっていたのですが、以前サンフランシスコかどっかでリヒター展見たことがあるので今回はスキップしました。

クリスマスシーズンだったのでクリスマスマーケットも行きました。グリューワインがうまかった。お屠蘇の味がしました。

あとシュニッツェルが美味しかったです。美味しんぼだったら「やはりカツにはソースに限る」ってソースかけてシェフブチギレさせてると思いますけど。

 

ベルリンの街は正直清潔とは言えないけど、エネルギーがあって好きでした。ゴミ一つない綺麗な街並みも好きだけど、ゴミが散らばった薄暗い街並みからも立ち上ってくる人の暮らしのピュアな部分が感じられるようで、向井秀徳やルーリードが描く都市の混沌とした情景の「もののあはれ」のような気持ちと似通うものがあるような気もします。

ありきたりな表現ですが、車窓から見る家ひとつひとつにそれぞれの暮らしがあるように、世界中の街それぞれに文化とそこに住む人たちの暮らしがあって、そういったものに親しみや愛おしさを感じられる鋭さを持っていたいものです。

 

何このキショい終わり方?