azao_olc’s blog

あざおOLCクラブは、ワールドワイドに活動する匿名のオリエンテーリング集団です。

日記(日記)

3/10 (日)

起きたら10時半で萎える。そんなに寝たかなあと思ったが、そういえば今日から夏時間が始まったことに気づく。夏時間に移行する日は夜中のうちに一時間進むので、体感と時計が合わなくなるんだった。まだまだ寒い日が続くが、木の蕾の膨らみや空気の匂い、日の沈む時間から季節の移り変わりを感じるようになった。冬が終わると毎年永田和宏のこの歌を思い出す。

sunagoya.com

ネトフリでDARKというドラマを見始めた。ストレンジャーシングスもこんな感じじゃなかったっけ。途中で観るのやめちゃったけど。しばらく観てみようと思う。

 

3/11 (月)

研究ノートに日付を書き込んで今日が3月11日であることを思い出した。Yahooの検索すると十円寄付されるやつを昨日やったばかりなのに。やらないよりはマシだよなと思いつつ、軽薄な自分に少し嫌気が差す。

コーヒー豆をタッパーに入れて保存してるのだけど、開けたての時より香りが落ちてきた気がする。そもそも今の豆より前飲んだケニアの豆の方がフレッシュな感じがして自分に合ってた気がする。使う分以外は冷凍庫に保存したほうがいいんだろうか。

父親がいつもプアオーバーでコーヒーを淹れていたので自分もそうしてるけど、友人が直火のエスプレッソメーカーを使っていて、淹れ方にもいろいろあることを知った。味にそこまでこだわりがない自分には湯を沸かして豆を挽いてドリップする一連の操作が大事な気がする。日常はそういった正気を保つためのルーティンで満ちていると最近思う。

 

3/13 (水)

質疑応答でやたら高圧的になるポスドクを見てうーんとなり、同時に解析のやり方を聞かれて高圧的になってしまった最近の自分を思い出しもっとうーんとなる。石を投げたくなった時自分の中を覗き込むと大体そこにいる。

大昔に撮った写ルンですの写真の日付がバグって446万年になってるので、icloudのPhotoで常に最新の写真として一番に下に出てくる。

446万年後には人類はいないだろうが、脊椎動物の共通祖先の出現が五億年前ということなので、進化のタイムスケールは凄まじい。iCloudの配置に慣れすぎて気にもしなくなったけど、真面目に見たら少し懐かしくなったので一枚貼っておく。いつかのスウェーデン

 

3/15 (金)

ノーベル賞受賞者Ardem Patapoutianのセミナーを聴講した。痛みや感覚を司るチャネルタンパク質PIEZO1/2を発見した人で、PIEZO2をノックアウトしたマウスの背中にテープを貼ってそれに気づくかどうか検証したビデオを見せてThis is why I got the Nobel prizeという強いジョークを飛ばしていた。

研究におけるルールのうちDon't be too busy, Learn to say No, Never forget to enjoy scienceあたりは心がけていきたい。

 

3/16 (土)

急に春。ちょっとラボで作業してからキャンパスのレバノン料理チェーンで昼飯を食べた。ファラフェルのボウルが好き。

あまりに天気がいいのでバスに乗ってカフェに行き、冷たい紅茶を買って近くのビーチまで歩いた。同じことを考えた人々でビーチはごった返していて、上裸で走ってる人や泳いでる人もいる。観光客なのか天気予報を見てなかったのか、ダウンを着込んでる老人もいて場違いさが面白い。あたりでは爆音で音楽を流している若者やビーチバレーをしてる男女、キッチントラックで買ったポテトを食べてるソロサイクリング中の女性、だらけている犬、水遊びをしている家族連れなどいろいろな人が思い思いのことをしていた。

ちょうどベンチが空いたので、暇つぶしに持ってきた北原白秋の詩集(なぜか下巻だけ家にあった)を少し読んだ。当たり前だけど描写力が凄まじい。文だけで空気の霞みや湿り気、人の往来、丁寧でもなく美しくもない暮らしが見えるような気分になる。

引っ越した最初は目に映るもの全てが目新しかったけど、最近は日本との差分が均されてきたように感じる。とはいえ現地人に近づこうと努力しても結局は日本人なわけで、情緒や思想の深い部分まで理解することは難しい。海外に移住した人やその2世の子供がアイデンティティで悩む理由がよくわかる。

街が思想と行動を侵食する。

 

3/17 (日)

今日も晴れ。友達に勧められたので何年ぶりかに映画館に行ってThe Zone of Interestという映画を観た。アウシュヴィッツ強制収容所の隣に住む一家のグロテスクなほど平和な暮らしを壁の向こうから届く断末魔の叫び声と共に映す作品で、強烈だった。日本でも「関心領域」という邦題で5月から上映するらしいので是非。心に突き刺さった。

 

3/19 (火)

今日も晴れ。明日から天気は下り坂らしい。日曜日に買ったMassive AttackのBlue linesのレコードを流している。体温の低そうなラップの曲が続いた後、最後の曲で霧が晴れるようにメロディアスになるのが好き。

 

3/21 (木)

ラボで作業するとなんだか落ち着かないのでキャンパスのカフェに行くことが多い。仕事が進まないよりマシということにして出費には目を瞑る。

日本に行ったカナダ人が「日本人は自分のこと指差す時自分の顔を指すので最初よくわからなかった」と言ってたことをふと思い出した。西洋人は指差す時胸を指すようで、heart = 心臓 = 心なのがよくわかる。一方で日本人は心は頭の中にあると認識している人が多くて、物心二元論、西洋/東洋みたいな議論に繋げられそうなんだけど既に研究してる人がいそう。

向井秀徳の書く詩が好きすぎる。気分によって好きな曲は変わるけど、最近はdrunk afternoonの退廃的かつ感傷的な雰囲気が好き。

夏が過ぎて 真昼の酩酊
オレは傍観者。都会の中枢
半(はん)冷たく午後の風はふわふわと
窓から風景にあいさつ
町に生きる人たちを知る
―故郷のあの香りは いまだ変わらないだろうか?―


砂漠の格闘 都会のまん中
色街では裸の女が待っているらしい
午後1時オレ、いま5杯目GALAXIE500 聞いて酩酊
LからRへ 行く間に見える 知らない景色
届きますか? つながりますか? あなたのところへ